「八百万の神々に感謝を」

鬱ノ宮高校の悲劇
第6話「八百万の神々に感謝を」


化学室の発電施設から○○○漏れが止まらない。
一方、ここは夜の料亭。
化学の主任逃田は太った老人と差し向かいに座っていた。

「右田理事長~。 お願いします~。
助けてくださいよぉ~」

鬱ノ宮高校で長らく絶大な権力を握っていた、
前理事長右田核栄。
そのテラテラ脂の沁み出た顔は下野した今も健在だ。
媚びているのか、
逃田はあえて「前」を省いて呼んだ。

「ふん。○○○の安全確保はお前の仕事だろう、逃田よ」

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「本来はこんなとこで酒など飲んでないで、
24時間体制で復旧に努めるべきだろうが」

「そんな殺生なぁ~。
あなたが造れと言ったから無理やり造ったんですよぉ~」

逃田は右田の手をとらんばかりだ。

「危険な時は軍でも警察でも投入して助けてくれると
言ってたじゃないですか~」

右田は刺身をつまみながら憮然として応える。

「残念ながら今ワシは在野の身だ。
関係各機関をどうこうする命令権限はない」

「えええ~ そんな~。
なら民井兄弟の尻でも叩いてくださいよ~」

「阿呆が。放っておけば民井の失点になるものを、
なんでワシが助けにゃならん。
とにかく、今のこの事態は今の教師陣で何とかするのがスジだろ」

「うううううううう」
…自分が一番甘い汁を吸ったくせにぃ…
という恨み節を逃田は必死で呑み込んだ。

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命が惜しければそれだけは言っちゃならない。

「専門家なんだろ。逃田、お前が行って止めて来い」
「そ、そんな危ないことできましぇ~ん」

「身体に影響は無いんだろ?」
右田が皮肉っぽい笑みを浮かべた。

自分の身になるとまた話は別ですぅ~」
逃田は全く悪びれずに即答する。



「じゃあどうするつもりだ。また化学部の生徒に押し付ける気か」
「押し付けるなんて人聞きの悪い~。
現場に行くのは下の者のつとめです~」

「…ふん。 お前もワルよの」
そう言って右田は杯を飲み干した。



今この事態に部外者でいられる天の配剤を、
八百万の神々に感謝しつつ…。




このブログは原発に反対する立場から書いた、
ライトノベルもどきの短文小説です。
細かなデータに揚げ足取りされないために、
あえて創作というカタチをとっております。
したがってフィクションであり、
実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。


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